しゃぼん玉
歳を重ねた人間というのはみんな、広い心を持っているのだろうか?
メグルもメグルで、メイがおかしな暮らしをしていることを追求してこない。
あれこれ詮索されるのが嫌いなメイにとって、この滝川家は天国のようだった。
家が古いとか、すき間風が吹くとか、夏にゴキブリが出るとか、そういった家の欠点は全く気にならなかった。
ただ、“ここにいてもいいよ”という雰囲気が良かった。
メイはそんなことを考えながら、さきほど夕食に、と、盛り付けられたおでんのちくわを頬張った。
「ばあちゃんさ、メイが来るとめっちゃ張り切るんだよね」
と、メグルは笑っている。