しゃぼん玉
ナナセがもくもくとサイクリングのマシンを運転している横で、アイリも同じように無言でそうしていた中、彼女は寂しげな表情で言った。
「彼氏がね、モデルの○○ちゃんみたいになれって言ってくるの……。
『それに比べてお前、なんだよ、その肉!太りすぎ!!』って……」
「彼氏が、そう言ったの!?」
ナナセには信じられない話だった。
“そんなヒドイこと言うなんて……。
モデルの子と比べるなんて、ありえないよ……。
アイリちゃんはアイリちゃんなのに……”
たしかに、ナナセから見ても、アイリは細身な方ではなかった。
でも、頑張ってダイエットしているアイリに対して、そんなふうに言う彼氏の神経が理解できなかった。
「アイリちゃんは頑張ってるよ。
彼氏の言うことだから気になるかもしれないけど、気にしちゃダメだよ」
「ありがとう、ナナセ君。
彼氏にも、ナナセ君の優しいところ見習ってほしいよ」
アイリは持ち前の柔らかい笑顔で笑った。
ナナセはホッと眉を下げ、トレーニングを続ける。
“彼氏も、アイリちゃんのこういうところを好きなはずなのに、なんでヒドイこと言うんだろ……。
かわいそうに……”
ナナセは健気なアイリを応援していた。