しゃぼん玉
そうしてトレーニングに励み、夜9時を過ぎた頃、ナナセはジムの出入口でアイリと別れた。
「遅いから気をつけてね」
「ありがとう。
大丈夫だよ。
ウチ、駅から近いから」
アイリはビルの多い駅前までの道のりを、てくてくと歩いていった。
ナナセはミズキにメールをしようとケータイを取り出す。
本当は電話したかったのだが、夕方ミズキから、今夜はサークルの飲み会に参加するというメールをもらっていたので、メールだけ送って済ませた。
“最近、ミズキちゃんと電話できてないな。
楽しんでるところに電話したら邪魔になるし、悪いよね……。
最近、あまり会えてないな”
すぅっと抜けていく秋の夜風。
ふと周りを見渡すと、腕を組んで楽しそうに歩き過ぎるカップルがいた。
“ミズキちゃん、もう少し待っててね。
必ず、男らしくなってミズキちゃんをちゃんと守れるようになるから”