しゃぼん玉

ミズキは、怒りで吐き気を覚えながら、震える声でその少女にたずねた。

「なんで、リョウにそんなことしたの?」

「リョウ、普段優しかったくせに、私のこと振るんだもーん。

だから、ムカついてー」

さきほどから、少女の声には抑揚(よくよう)がない。

ミズキが今までそういう人間に出会ったことがないからだろうか?

その少女の言動が不気味に思え、寒気を覚えた。

それと同時に、ミズキの怒りのボルテージは上がり続ける。

ミズキは涙をこぼし、

「その画像、消して。

そんなふうに、持ち歩か……ないで……」

「無理だよー。

だって、これがなきゃ、お姉さんのこと脅迫できないじゃん。

この画像バラまかれたくなかったら、お金、ちょうだいっ」


ミズキは、いま持ち歩いている全てのお金を少女に渡した。

少女は、要望通り金を受け取ったわりには満足そうな表情をするわけでもなく、機械的な手つきでそれを財布におさめた。

「ありがと。

じゃーねー」

少女は腰くらいまで伸ばした綺麗な髪の毛を揺らして、その場を後にした。

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