Vrai Amour ~秋緒の場合~
「あなたに聞くべき?それともあのおばさんに聞くべき?」
千夏は開けたままの窓から目の前にある高層マンションの最上階を見上げた。
「誰のことを言ってるんだ」
ジロリと睨んだが千夏はマンションを見上げたまま、笑顔でいる。
咲子との関係は誰にも話していない。
もちろん咲子だって同じだ。
なんでこいつがそれを知ってるんだ。
「・・・なんで知ってるんだって顔ね。そんなの簡単よ。探偵でもつけさせればすぐにここにたどり着くし」
お嬢様も、金で何でもするってことか。
バカらしくなってふっとため息をつくと、すっと窓が閉まり千夏がこちらを振り返った。
「とりあえず、まずはあなたに言っておく」
あまりに真剣な表情に、俺は少したじろいだ。