△~triangle~

「……すまない」

父はそう小さく謝ると、僕の頭をポンポンと撫でる。

「……いえ。覚悟していた事ですから」

そう小さく呟き笑って見せると、父は悲しそうに瞳を揺らし……もう一度《すまない》と震える声で呟いた。

……ごめんね……明。

君にそんな顔をさせたかったワケじゃないんだ。

僕は今では後悔してるのかもしれない。

自分自身を守りたいだけの為に……君を利用し続けている事を。

……僕のたった一人の兄弟。

……憎くて愛しい……僕の弟。

もしも願いが叶うなら……君と初めて出会ったあの時に戻りたい。


何も知らず笑い合えた……あの頃の《僕等》に。
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