△~triangle~

……ノラはとても優しい子。

それを僕は知っている。

それなのに僕は……この子を傷付けている。

それだからこそ僕は……この子が憎い。

……どうして……どうして……

割り切れない心に揺られながら、いつの間にか……泣いていた。

ボロボロと涙が頬を伝い、それは雨と交じり合い、地面へと落ちて行く。

何故流しているのかも理解出来ない僕の涙を、ノラは何も言わないまま見つめ……それからそっと、僕の頬に手を伸ばした。

ノラの微かに震える左手が僕の頬に触れ、それは優しく僕の涙を拭う。
< 249 / 451 >

この作品をシェア

pagetop