△~triangle~

もしも神様がいるのだとしたら、そいつは本当に底意地が悪いと思う。

そんな事を考えながら……目の前の女の子を見つめた。

傘も差さずに駅前のベンチに座ったまま、静かに俯いている少女。

その顔は彼女の長い髪で隠れて見えない。

長い髪を雨の雫が伝い、それはまるで彼女の流す涙の様に見えた。

それぞれの家へと足早に向かう沢山の人の波の中で立ち尽くしたまま、真っ直ぐに彼女を見つめ続ける。

この沢山の人が溢れる中で、どうして俺は……彼女を見つける事が出来てしまうのだろうか。

まるでそれが運命だったかのように、こうなる事が定められていたかのように。
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