△~triangle~

「それなら……仕方がないよな」

明はそう言ってニッコリと眩しい笑みを浮かべると、私の頭をポンポンと撫でた。

それはまるで小さな子供をあやす様に優しく、そして温かい大きな手。

……優しい、優しい明。

私の髪を撫ぜる大きな手の温もりは、私の胸を酷く締め付ける。

「じゃあ多分俺は……ノラに話さなきゃいけない事が沢山ある」

そう言って明は私を窺う様に見つめると、小さく首を傾げて見せた。

そう……私は何も知らない。

全ては知る事で始まる……そんな気がした。

「教えて……明の知っている事。……全部」

グッと拳を握り締め真っ直ぐに彼を見つめそう言うと、明は嬉しい様な悲しい様な複雑な顔をして……昔の話をしてくれた。
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