△~triangle~

「……もしもし?」

思い切って通話ボタンを押すと、一瞬の間が空く。

しかし次の瞬間、携帯のスピーカーから、微かに震える明の声が聞こえた。

その彼が伝えた事実に、グッと携帯を握る手に力が入る。

「……分かった。絶対に……連れて帰る」

その私の言葉に明は《うん……待ってる》と短く答えると、電話を切った。

「ごめんなさい。私、行かなくちゃいけなくて」

そう言って彼女を振り返ると、彼女は何か理解したのかコクリと頷いて返してくれた。
< 303 / 451 >

この作品をシェア

pagetop