△~triangle~

「僕はただ……貴女にもう一度会いたかった。貴女に会って貴女と話してみたかった。ただ……それだけなんです」

そう言ってニッコリと笑って見せると、彼女は微かに目を見開いて、それから悲しそうに笑った。

その彼女の瞳には見る見るうちに涙が浮かび上がり、そしてそれは流れ出し、彼女の白い頬を伝って行く。

「僕は貴女を恨んでいるのかもしれません。僕を捨てて音楽を選んだ貴女を……僕はずっと恨んでいたのかもしれない。でも、でも……僕は……」

そこまで言って、そっと泣き続ける彼女に手を伸ばす。
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