△~triangle~

それからフラフラと立ち上がり、グルッと部屋の中を見回す。

するとそこは昨日までと何も変わらない、いつもの部屋のままだった。

……二人は何も持たずにこの部屋を出て行った。

ココで暮らしていた《全て》を置いて。

そんな事を考えながらキッチンへと視線を向ければ、そこは綺麗さっぱり片付いている。

きっと二人が片付けて行ったに違いない。

私を起こさないようにこそこそと片付けをする彼等の姿が目に浮かび、小さく笑みを浮かべた。

でもその笑みはすぐに消え、シンと静まり返ったこの広い部屋で、微かな孤独を感じる。

でも……きっと私は大丈夫。

どこからか沸き上がる、何の根拠もないその自信と共に、一人でコクリと頷いた。
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