ケンカ+理解×大好き=友情

「バイトの休憩中に、ミサキと話してたんだ。

マナツにお金取られてあっちゃんが食費に困るようなことがあったら、うちらがここまでご飯作りに来ようって。

料理なんてあんまやったことないから、全然自信ないんだけどさ」

「それ、嬉しい……」

はにかむあっちゃんの目には、涙があふれていた。

あたたかい気持ちになる。


きっと、私が想像する以上に、あっちゃんはつらい目にあってきたのかもしれない。

私たちに話した家庭の事情は、そのうちのほんの一部でしかないのかもしれない。

でもね、過去は過去だと思うんだ。

未来はどれだけでも変えていけるはずなんだ。

今日孤独でも、一ヶ月後には隣に誰かがいるかもしれない。


高校の時、同じクラスの誰かが言ってた。

「男女の間で友情が芽生えるなんてありえない」って。

「性別が違う以上、いつ何が起こるか分からない」って。

でもね、あっちゃんとのこの関係は、恋愛感情から成り立つものじゃないって自信を持って言える。

友情という絆でしっかり繋がっているんだ。

現に、ユナちゃんに嫉妬心が湧かないのがいい証拠。


成人式を迎えても、

大学を卒業しても、

きっと私たち3人の関係は変わらないよ。

いい意味で、ね。

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