ケンカ+理解×大好き=友情

「数円·数百円の話だったら、水に流すこともできる。

でも、そんな少ないお金じゃなかったよね?

10万……。1人暮らししてるのに仕送りももらわずバイトだけで生活してるあっちゃんにとっては、生きるか死ぬかの金額だったんだよ」

「はい……。アマネの家のことは知ってます。

だから悪いって思いながらも、マナツの脅しが怖くて、アマネにお金の相談をしてしまいました。

マナツにアマネとのことがバレたんです……。それで怒ったマナツに、プレゼント代返せって言われてたんです。

でも私、アマネからお金は受け取ってないし、マナツからもそんな話聞いてないです……」

ユナちゃんは私の目をジッと見てくる。

これは逆に怪しい。

女性は男性に比べ、他人を凝視する傾向がある。

ウソをつく時目をそらすという心理が世の中の常識として広まった今、ウソを見破られまいとし、逆に相手を見つめ続けることでウソ話を真実と思い込ませる女性もいるんだ。


心理学にやたら詳しい友達がいて良かった。

この知識がなかったら、鈍い私は初対面のユナちゃんのウソを暴けなかったに違いない。


「私ね、この前、あっちゃんがバイトしてるコンビニでマナツに会ったんだよ。

あの人、あっちゃんに『ユナを奪ったんだからお金よこせ』って言ってたよ。近くに他のお客さんもいたのにさ。

あっちゃんも、マナツにお金渡して安心してた。『これでユナが楽になれる』って。

ユナちゃんには言うなって口止めされてたけど、もう言う。

あっちゃんがあんた達バカップルに騙されてるの、黙って見てられないから」


空気が凍りついた。

ユナちゃんの口元はブルブル震えている。

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