キスはおとなの呼吸のように【完】
カズトは裏口のガラス戸のまえにヴァンを停め、立ちのみスペースが営業を終えている雰囲気を強調させた。

こういう計らいは、いつもならありがたいことなのだが、この日ばかりはそうは思えない。
居酒屋でへたに時間がつぶれてしまったことがくやまれる。

わたしと大上先輩は横にならんで、カウンターのむこうのカズトと正対した。
わたしと先輩のまえにはバドワイザーがひと缶ずつ。
カズトはお酒をまったくのまず店員に徹していた。
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