キスはおとなの呼吸のように【完】
ふれるだけの軽いキス――


ファーストキスやまだおさない学生時代は、そんなささいなことだって、胸がいちいちどきどき高鳴り、緊張と興奮と恥ずかしさで頭のなかがまっしろになった。

たがいになんだかばつが悪くて、それにすこしうしろめたくて、思わず目をそらしてしまった。
そんな昔の淡い思い出。

けれども同時に、おとなの階段を誰にもないしょで一歩だけのぼったような気持ちもして、おさない心は満たされたっけな。
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