キスはおとなの呼吸のように【完】
そのシールは、カズトが貼ったものではなく、わたしがスーツのなかのポストイットの残りで制作して最近貼りつけたものだ。

さすがに本物のキスマークをつけるのは顔から火がでるほど恥ずかしいので、会社のパソコンで手書きの絵と文字をいれ、プリンターでプリントアウトしただけのちゃちなもの。

「あのステッカーね……」

うれしそうにカズトがいう。

「裏口のまえに、おれのヴァンがいつも停まってるでしょ」

「ああ」

おじさんはワンカップをぐびぐびと半分ほどあける。
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