キスはおとなの呼吸のように【完】
わたしの横で大上先輩は季節感に関係ないカルビ焼肉弁当をがつがつたべている。
ホームのベンチでみっともないと思うけど、先輩いわく、くえるときにくっておかなきゃ次はいつくえるのかわからないのだそうだ。

わかるような、わからないような。

わたしは、ほかほかと湯気を立たせる肉まんをかばんのかげに隠しながらこそこそと口に運んだ。

冬の一日の終わりにたべる中華まんがおいしいかどうかはじつのところわからない。
単純に恥ずかしいなと思うだけ。
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