ニューロティック・宴(エン)
『何故
喪に服さない?』


『は?』


『沙織さんのこと。』


『沙織が何よ?』


『彼女が
亡くなった後、
君は一切
彼女の話をしようとしない。

涙を流した様子もない。』


『なんで
悲しくもないのに
泣かなきゃ
いけないのよ?』


『あの出来事が
確かに人の想像を
越えるものであったと
しても、
何らかの形で
乗り越えなくちゃ
ならない。


でも、
君のアプローチは、
ただただ
感情を押し潰し、
見て見ぬ振りをする、
という、
全く効果がない
方法でしかない。』


『うるさいわね。
あんたには
関係ないでしょ。

あれはもう過去の
出来事なんだし。』
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