カラス君と黒猫さん2



ぺたりとカラス君に張り付く。
熱い体温が直に伝わった。


(本当に熱出てるんだなぁ・・・・・・)


カラス君はタフなイメージがあったから、こうして寝込む所なんて見たこと無い。
実感が湧かない、っての?


「ん・・・・・・・・・・・・・・」


カラス君の腕が肩に回った。

あぁ、私体温低いから気持ち良いんだ。


「・・・カラス君カラス君」


カラス君の、におい。

あ、今私変態みたいだ。まぁいいか。元々変態だ。



「・・・・・・須王くん」


前から思ってた。“須王”なんて変な名前だなぁ。
そんな事は言わないけど、初め聞いたとき聞き返しちゃったもん。

まぁ本人も思ってるだろうけど。


「なに?琴羽さん」


心臓が止まった。
頭上から発せられた声は間違いなくカラス君の。


「うあああ!!起きてたのカラス君!!」

「起きたの。だって呼んだでしょ、俺のこと」


今、“琴羽”って聞こえた気がする。
今、名前呼んだ気がする。


「カ、ラスくん、今・・・・・・・・」


顔を上げると、カラス君の顔。
照れ臭そうに笑ってる。


ずきゅん、心臓が漫画みたいに高鳴った。



< 20 / 87 >

この作品をシェア

pagetop