恋人は王子様!?



「あ、菫…晩飯どうする?」


晩飯どうするって


「家に帰って食べるよ」


「……」


「へっ?ひ、裕ちゃん」


「此処で食ってけ」

「えっぇぇぇ…此処で?」


裕ちゃんが肩に両手を置いて、耳元で


「クリスマスイヴ…一緒に過ごしたい」

「……」


「遅くならないように家に送るから」


「……」


「駄目?」


そ、そんな甘い声でお願いされたら


「うん」


頷かないと仕方ないでしょう。


裕ちゃんがニヤリと笑ってる。


知能犯なんだから。

「家に連絡するね」

「あぁ」


お母さんに裕ちゃんに夕食をご馳走になるって連絡すると、あっさり


「よかったわね。あまり遅くならないようにね、それと裕ちゃんに迷惑かけちゃ駄目よ」


「は~い」


今だに子ども扱いなんだから。


……ェ!


後ろから抱きしめられ


「おばさん、何て?」


「裕ちゃんに迷惑かけちゃ駄目よって」

「ハハハ…」


「でも、裕ちゃん」

「ん?」


「ご飯…どうするの?」


まさか、裕ちゃんが作ってくれはしないよな。


「何のデリバリーがいい?」


やっぱり宅配か。
メニューを見せてくれる。
って…いつもデリバリーなの?


「裕ちゃん」


「ん?」


「いつもデリバリー頼んでるの?」


「まさか!いつもは食べにいったり、簡単なもんなら自分で作る」


自分で?裕ちゃんが?


「何、その疑いの目は」


睨んでるし。


「い、いやぁ…その…ハハハ…」


「笑ってごまかさない」


頭を叩かれた。


「痛~い」


「痛くない」


「はい…ごめんなさい」


「ん…じゃあ許してやる」


何を許してもらうんだろう?
頭の中に?マークが飛び交う。



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