恋人は王子様!?



コンコン


ガチャッ!


「入るよ」


寝室に入ると、裕ちゃんは寝ていた。


どうしようかな?


気持ちよさそうに寝てるし―


ご飯は後でいいか。

お盆を再び台所に戻し


ベッド脇に座る。


汗掻いてる。


タオルを搾って、顔をそっと拭いて。


眼鏡を外してると、蓮見先生じゃなく、裕ちゃんって気がする。


だけど、やっぱり男前ねぇ。


額に掛かった髪をかきあげ


――





知らぬ間に、裕ちゃんの顔に指を這わせていた。


「ぅ…ぅうん」


ハッ!


慌てて指を引っ込め

―と


指を捕まれた。


「裕ちゃん」


「ん?」


ゆ、指に…キス…してる。


「裕ちゃん…あっ、ご、ご飯持ってくるね」


「まだ、いい」


「じ、じゃあ着替えしよう。汗掻いてるから体が冷えるよ」


「ん」


「着替え何処にあるの?」


「そこのクローゼットに入ってる」


クローゼットを開けて


「何処?」


「そこに引き出しがあるだろ、一番上」

あ、あった。


Tシャツを取り出し


「はい…タオルとTシャツ」


部屋を出て行こうとすると


「拭いてくれないか」


「……」


「ハハハ…冗談だよ」


「裕ちゃんの意地悪」


部屋を出た。


「ハハハ…」


まだ、笑ってるし。

でも、だいぶ元気になったみたい。


よかった。




< 154 / 215 >

この作品をシェア

pagetop