恋人は王子様!?
コンコン
ガチャッ!
「入るよ」
寝室に入ると、裕ちゃんは寝ていた。
どうしようかな?
気持ちよさそうに寝てるし―
ご飯は後でいいか。
お盆を再び台所に戻し
ベッド脇に座る。
汗掻いてる。
タオルを搾って、顔をそっと拭いて。
眼鏡を外してると、蓮見先生じゃなく、裕ちゃんって気がする。
だけど、やっぱり男前ねぇ。
額に掛かった髪をかきあげ
――
―
知らぬ間に、裕ちゃんの顔に指を這わせていた。
「ぅ…ぅうん」
ハッ!
慌てて指を引っ込め
―と
指を捕まれた。
「裕ちゃん」
「ん?」
ゆ、指に…キス…してる。
「裕ちゃん…あっ、ご、ご飯持ってくるね」
「まだ、いい」
「じ、じゃあ着替えしよう。汗掻いてるから体が冷えるよ」
「ん」
「着替え何処にあるの?」
「そこのクローゼットに入ってる」
クローゼットを開けて
「何処?」
「そこに引き出しがあるだろ、一番上」
あ、あった。
Tシャツを取り出し
「はい…タオルとTシャツ」
部屋を出て行こうとすると
「拭いてくれないか」
「……」
「ハハハ…冗談だよ」
「裕ちゃんの意地悪」
部屋を出た。
「ハハハ…」
まだ、笑ってるし。
でも、だいぶ元気になったみたい。
よかった。