恋人は王子様!?
「 な、何の話しがあるんですか?蓮見先生?」
「ハハハ…お前に蓮見先生って云われると何か変だな」
応えない男だな。
「学校では先生でいいけど、学校出たら前みたいに呼べよ」
前みたいにって…
「裕ちゃんって」
「ん」
「じ、冗談でしょ。学校出たって先生は先生です。蓮見先生」
「菫…」
ち、ちょっと…
押しのけて、立ち上がり
「何 考えてるんですか?」
「ハハハ…お前、真っ赤」
「か、からかわないで下さい」
「ハハハ…」
まだ、笑ってるし。
「先生、菫なんて呼ばないで下さい」
「ん?じゃあ前みたいに『姫』って呼ぼうか?」
「じ、冗談でも止めて下さい」
湯気が出る!
「『裕ちゃん、菫のことは姫って呼んでね。菫…シンデレラになるの』可愛いかったよな、あの時の菫は」
「今は可愛くなくてすみません。…ってあれは、三つ四つの頃でしょうが」
あの時は裕ちゃんに「シンデレラ」を読んでもらったから、自分もシンデレラになるんだと…
何で覚えてんのよ。
「『裕ちゃんは王子様にしてあげるね』云ったよな」
忘れようよ、そんな恥ずかしい話し。
「もう、帰っていいですか?昔話しは終わりましたから」
扉の方に歩いて行くと
「俺、お前の王子だから」
はい?
振り向くと
私を見据えて
「もう、逃げんなよ。俺、お前の王子になるから」
「……」
「……」
「し、失礼します」
慌てて部屋を出て一目散に家へ―