恋人は王子様!?



階段を上がり裕ちゃんの部屋へ―


……ッ!


入るなり…抱きしめられる。


「ひ 裕ちゃん…」


「ちょっとだけ…」

「うん…」


裕ちゃんの胸に顔を埋める。


……





懐かしい裕ちゃんの匂い。


――





ようやく離して


「ずっとこうしたかった」


「……」


「菫のいない二年半…淋しかった」


「…裕ちゃんの馬鹿」


私の顔を覗き込み


「菫?」


「裕ちゃん…が…あんな事…云わなかったら…ずっと一緒にいれたんだよ」


「…菫……お前も淋しかったか?」


「裕ちゃんの事は…心の奥底に封印したの。嫌われてると思ってたから…」


涙が流れてきた。


「菫…」


再び抱き寄せられ


「裕ちゃん」


「ん?」


「ほんとに嫌いじゃないよね、邪魔じゃないよね。…裕ちゃんの横にいていいんだね」


「ん…当たり前だ。ずっと俺の横にいろ」


「うん…」


裕ちゃんが私の頬を両手で挟み…


……





そっと…キスを落とした。




< 80 / 215 >

この作品をシェア

pagetop