『多良家』の嫁☆〜お隣BOY☆続編〜
お母さんが炊飯器を開けようとボタンを押した瞬間…!


蓋を押さえました。


地味な抵抗です。


「歩來ちゃん…?みんな急いでるから…」


お母さんはまたボタンを押しました。


蓋がゆっくり開きます…


カチャ


私は蓋をまた押さえ閉じました。


「どうしたんだよ…歩來」

虎太朗が近づきて来ました。


開けられては困る…


私はその思いで頭がいっぱいになり、コンセントを抜き炊飯器を抱えて無我夢中で走り出しました。



気付くと…


公園のベンチに炊飯器を抱えて座っていました。


今まで色んな恥をさらして来ましたが…


嘔吐物まで多良家にさらすわけにはいきません…



どうしちゃったんだろう…

急な体調不良に不安になりながら、この炊飯器をどうするか悩んでいました。


でも…


確実に変な人です。


炊飯器を抱えて公園で座っている女…


あまりに不審で通報されかねません。



「歩來!」


虎太朗が走り寄って来た。

「虎太朗…」


私はまだ懲りずに走りましたが…


すぐ捕獲されました。
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