ROCK YOU!
「おう」


けいたろはそう言って、私の隣を歩き出す。


手は、握って来なかった。


さっきよりも遠い距離に、少しだけ寂しくなった。


なんだ、矛盾してるし。



私って、本当に自分勝手なやつ。





「和、着いた」



…気がつくと、もう楽器屋さんの前にいた。


「あぁ、ごめん」






手が淋しい。





小さい時から触れてた手。





「けいたろ、手、繋ご」







けいたろは、一瞬戸惑っていたけど
黙って私の手をそっと握った。





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