優しいなんて、もんじゃない
それに小さくお礼を口にして、人当たりの良さそうな笑顔を浮かべたままで。
「弥生さんのいとこにそんな不躾なこと、しませんよ。」
そう、言の葉を紡いだ。
彼はここの常連客の河井さんといい、弥生さんとは同い年らしく未婚者らしい。
「弥生さん、オムライスつくって。」
「えー…、卵と砂糖ないし無理。」
「それアウトですよね。」
「オムライスなんて可愛いもん、注文しないでほしいよね。」
―――…弥生さんは、大雑把で面倒くさがり屋だ。それも極度の。
よくそんなんで自分の店を持てたなと思うが、彼女にはこの仕事が一番合っているのだろう。