男の娘だって狼です【ONLOOKER番外】
一番風呂だったはずの鳴海の髪は、まだ少し濡れていた。
前髪を掻き上げて、額にもコットンを置く。
「あ、気持ちー」
鳴海が目を閉じた。
急に、衝動的な苛立ちが、里吉を襲う。
誰にでもこんなふうに無防備な姿を晒すわけではないと、わかっている。
わかっているのに、なんの警戒心もなく目の前で瞼を降ろす鳴海が、ひどく無神経な気がしたのだ。
しかも、自分はあんなに意識していて。
里吉は、ゆっくりと、顔を近付けた。
「んー……里さ、」