冬に降る涙の雨。


唯一の家族だったお父さんは数年前に他界した。

それから私は一人暮らし。

国からお金をもらってるから、何も困ることなんてない。


それに、一人にはもう慣れた。


家族もいない、友達もいない。

たった一人の寂しい世界。
暗い世界に私は一人。




考えごとをしていると、あっと言う間に授業は終わり、ホームルームまでもが終わっていた。


「ばぃばーい」
「うん、また明日ね~」

「傘忘れちゃったんだよね~……」
「途中まで入れてあげるよ?」
「やった、ラッキー」


そんなクラスメートたちの声が聞こえる中、私は一人で教室をあとにする。



いつもと変わらない毎日。
ただ、いつもと少し違うのが、今日は雨だと言うこと。


雨はわりかし嫌いじゃない。


なんだか自分に似てるから。





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