冬に降る涙の雨。


「では、終了。」
40代半ばらしき男の人の一言に、“ふぅ”とため息。

やっと、終わった。
良く分からないまま受けた試験だったけど、さほど難しい問題はなかった。


カナちゃんを盗み見ると、満足そうな表情を浮かべていた。

「……?」

「では、篠原(ササハラ)さん。」
突然、というか久しぶりに苗字を呼ばれてドキッとした。


「今から面接を行いますね。」



ん……?
今、幻聴が聞こえたような………


め、面接………??

「マコ、行ってらっしゃい」
手をヒラヒラと振るカナちゃん。

「篠原マコさん?」
40代半ばらしき男の人に呼ばれ、驚いた。

篠原“マコ”………!?
私、篠原麻琴ですけど……

まさか、カナちゃんが?
信じて、くれてるのは嬉しいけど……

マジ……?
ってことは、私は篠原マコとして生活しなきゃいけないの?


頭、ぐちゃぐちゃ。



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