コルニクス
◆TWENTY-NINE

アンジェリカ夫人はどこぞのお金持ちのご令嬢で、

経営が難しくなったルナを立て直すために元帥がクロと結婚させた、

謂わば政略結婚らしい。

ということをデンスが話しながら食堂へ向かう。

「俺トイレ行ってくるから先に行ってて」

クリュさんがそう言い、みんなの群れからはずれていくも、

みんなには返事をする余裕すらなかった。

だいぶ落ち着いたと思うけど、実は私はあまり落ち着いていない。

さっきから心臓がバクバクして痛む。

なんでか、すごく苦しい。

でも、その得体の知れない苦しみは、食堂の扉を開けると半分ほど解消された。

「うわぁ」

だだっ広い食堂にはご馳走がずらりと並べられていた。

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