高天原異聞 ~女神の言伝~

「おはよう、美咲さん」

「――お、おはよう」

 あまりの近さに美咲はとっさに顎を引いて顔を下げてしまう。
 だが、首に触れていた慎也の手が美咲の顎をとらえて上向かせる。

「なんで顔下げちゃうの?」

「――」

「身体、平気? 俺、昨日乱暴じゃなかった?」

 気遣うような眼差しに、美咲は慌てて首を横に振る。

「よかった。美咲さん、昨日気を失ったみたいに寝ちゃったから、心配したんだ。何度呼んでも目ぇ覚まさないし。女の人の初めてって、すごく痛いってきくから、無理させたんじゃないかなって、血も出てたし」

「え?」

 下腹に出血しているような感覚はない。
 そして、気づく。
 ショーツを身につけていることに。

「なんで、下着つけてるの……」

「俺が履かせたから。そのまま履かせたら気持ち悪いだろうから、身体も拭いといた」

 さらりと言われた言葉に、美咲が絶句する。





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