高天原異聞 ~女神の言伝~

「あ、念のため言っとくけど、見てないよ。美咲さんが嫌がると思ったから、明かり点けなかったから」

「――」

「美咲さん?」

「――やだ、もう!」

 美咲は寝返りをうって慎也に背を向けると掛布を頭からかぶった。
 恥ずかしくて、顔から火が出そうだ。

「美咲さん、こっち向いて」

 慎也の手が優しく掛布を美咲の頭から捲り取る。
 だが、美咲はますますシーツに顔を押しつけて慎也から隠れる。

「ホントに見てないよ。だから怒らないで」

 そう言って、美咲の背中に触れる。

「――っ」

 肩胛骨に沿って優しく撫でられ、思わず身体が反応してしまう。
 背骨に濡れた舌の感触を感じて、背を反らす。
 その間に、慎也の手は美咲の脇腹を撫で下ろしながら右半分だけ、ショーツを引き下ろした。

「……駄目」

「じゃあ、こっち向いて」

 観念した美咲が、ゆっくりと肩を下げて慎也を振り返ると、

「――」

 覆い被さるように慎也が美咲の唇を塞いだ。



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