高天原異聞 ~女神の言伝~

「藤堂さん。こっち台帳記帳と入力終わったから、お願い」

 図書準備室からかかる声に、あわてて美咲は振り返る。
 司書教諭が顔だけ出して手招きしている。

「は、はい。えっと、新刊の棚でいいんですよね」

「そうそう。それで、古い順から書架の方に戻してね」

 貸し出しをスムーズに行なうためにコンピュータ処理されたバーコードを貼り付けてあるのを確認してから、積み重なった書籍を気合いとともにもちあげる。
 ハードカバーに前方を遮られつつも、横目で視界を確保しつつ新刊コーナーの棚へと向かう。
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