高天原異聞 ~女神の言伝~
「若い男より、年上の男か。渋い趣味だな~」

「すてきなおじいちゃんだもん、あたしもときめくかも」

 茶化すように莉子が続ける。

「何ばかなこと言ってるの。いつも利用してくださってる方よ。変なこと言わない」

「愛に歳の差は関係ないのだ」

「そうなのだぁ」

 さらにふざける二人に、美咲は呆れてしまう。

「そんなことより、本を返しに来たんじゃないの?」

「あ、そうそう」

 そう言われて、二人はようやく手に持っている本に気づいたようだ。

「これ返して、こっち借りるね」

 そうして莉子が差し出したのは、女子高生が好きそうな今流行の恋愛小説だ。
 対する美里は、硬派な推理小説の続きだ。

「美咲先生のおススメ、ちょーおもしろかったw この作家の他のやつチャレンジするんだぁ」

「あたしも。シリーズ読破する」

「はいはい。ありがとう」

 美咲がカウンターで手続きをしている最中に、莉子が突然思い出したように声を潜めて言い出した。

「知ってる? 美咲先生。今、校内でお化けが出るんだよ」



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