スリーポイント





ふと頭を過るのは─…


「………!」


首をぶんぶんと振り、思い出そうとしてやめる。

アイツなんて…、最低な男なのに…。


(どうして、忘れることが出来ないのよ…)


零れ落ちそうになる涙を堪え、ふとさっきまで眺めていた公園を見る。


そこには、誰もいなかった。

(もう、帰っちゃったのかな)


少し残念になりながらも、私は玄関へと歩く。


深く深く帽子を被って。


冷たくて重い、扉を開いた─…。






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