TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
そうやって思考を張り巡らせていたとき、思い出す。
さっき桧野が口にした「俺がお前を幸せにしてやるよ」という言葉を。

それはわたしを殺すという意味だったんだ。

「ちょっと桧野! やだ! やめてよ……!」

破片をわたしに突き付けて来る桧野に、わたしは言葉で抵抗する。
だけど桧野は構わないというようにわたしを破片を持っていない方の手で押す。
恐怖で足が縺れていたわたしは、いとも簡単にその場に倒れる。
その上に桧野が覆いかぶさるように乗って、破片を持っている方の腕を大きく振りかぶった。

破片、いや、今となってはナイフといってもいいその凶器は、ゆっくりとわたしを襲いにかかってくる。
嫌だ嫌だと叫ぶけれど、その速度は増すばかり。
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