TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
必死の思いで後ろを見てみると、そこにはスーツ集団がクラスメートをわたしと同じようにしている光景があった。

目を塞ぎたくなった。
授業で習った不審者対策も、こんな咄嗟な出来事には対応できるわけない。

わたしはほんの少し刺激的なシュチュエーションを期待していただけで、こんな壮絶で言葉を失うようなシュチュエーションを楽しみにしていたのではない。
腕を無理やり引っ張られ、姿勢が崩れた。
わたしは何とか自分の力で立ち上がり、きっとわたしの腕を掴んでいたスーツの男を睨んだ。

だけどこんなのただの強がり。
本当は怖くて怖くてたまらない。

何が目的か分からない。
だから何をされるか分からない。

わたしは恐怖感に怯えながらも、悪い予想が当たってしまったと密かに肩を落とした。
だけどそんなことを考えている余裕も、段々となくなっていった。

まるで記憶に粉砂糖がかけられているかのように、意識がぼんやりとしていく。
眠気と戦っているときのように目がとろんとしてしてしまう。
わたしはもう立つ力もなくなり、その場にふらふらと崩れ落ちた。

ハンカチに何か細工がしてあったんだと気付いたときには、もう既に眠りの中だった。
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