LAST EDEN‐楽園のこども‐

鳥になりたい

あたしが消えてしまっても、誰か悲しんでくれますか―――――。



担任が出て行った、放課後の教室。


期末テストの打ち上げと称した「ゲーム」は、しばらくお預けを余儀なくされていたためか、開始直後から興奮状態で幕を上げることになる。


宴を待ちかねていた生徒の一人に髪をつかまれると、ミウは椅子から床に叩き落された。


倒れたミウの体に馬乗りになると、彼は決して人目には見えない柔らかい肌を狙って、硬い拳を振り上げる。


鈍い痛みに身を捩じらせたミウの耳に「交代」という乾いた声が聞こえると、そこからはいつものメンバー数名がミウの体を取り囲む。


そして入れ替わり立ち代り腕を上げ、足を上げると、ミウは自分の体が鉛のように重くなっていくような気がした。


彼らは実に軽快に、ひどく残酷な仕打ちを簡単にミウに行った。


ある女子は、床に押し付けられた頬に上履きのまま体重をかけた。


そして、グリグリと踏みつけたかと思うと、今度はトイレ用バケツに入れた水の中に、ミウの顔を頭から押し込む。


「キャハハ!」と心から楽しそうな笑い声を上げる女子のスカートを見上げながら、ミウは、自分の顔を濡らしている涼が水なのか涙なのか、わからなかった。


覚えたての格闘技をミウで試してみる男子もいた。


雑誌を広げながら、強い腕に首元と脇の下を締め付けられたときには、さすがに意識が遠のきそうになる。
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