LAST EDEN‐楽園のこども‐
佐々木頼知。


彼は、若干15歳ながら、中学生ながら卓越したテニスセンスを誇り、テニス雑誌にも天才中学生プレイヤーとして特集を組まれるほどの存在である。


「今日は放課後まで起こすなっつったろ」


気だるげそうに言った頼知の、まるで心の中まで読み取ってしまいそうな瞳に見つめられて、和樹はにわかに緊張する。


「あのさ」


言いかけて、和樹はハッとした。


おかしな話だ、と。


今まで好きなタイプの一つも口にしたことのない自分が、特定の女生徒の話題を持ちかけるなど、頼知ではなくとも首を傾げるところだろう。


これではまるで、自分は涼のことが気になっているのだと、頼知に告白するようなものではないだろうか。


変に勘ぐられるのも、あれだよな。


だが、和樹がその先を躊躇う理由はもう一つある。

つまり、不用意に涼の名を出して、もしも頼知が涼に興味を持ったりしたら――――。
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