LAST EDEN‐楽園のこども‐

龍堂弦一郎

青蘭中学の生徒会会長にして、鬼の剣道部主将である龍堂弦一郎は、通学路の途中で、険しいその表情をさらに険しくしていた。


彼の視線の先にいたのは、二人の少女。


一人は他校の制服に身を包み、もう片方は、自分と同じ青蘭の制服を着ている。


二人を遠巻きに眺めながら、龍堂は内心、怒りに全身が震えそうだった。


中学生が、通学時間帯にこんなところで何をやっているのだ、けしからん―――――と。


いかにも言いそうな風貌をしている彼は、間違いなく涼と同学年である。


しかし、真面目というより頭が固いといった方が相応しい彼にとって、道草を食っている生徒など不届き千万、不貞の輩に他ならない。


だから、一人の少女がもう片方の少女のむなぐらを掴み上げた瞬間。


龍堂は迷うことなく間合いをつめ、空を切り裂くような怒声を張り上げた。


「何をやっている!」


低く深く、そして野太いその声に、涼と、そして涼とともにいた少女、那智は同時に身構えて声の主を振り返った。


そしてそこに、鬼の形相をした龍堂の顔を見つけると、那智は思わず眉根を寄せた。
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