Sugarless -君だけがいた時間-
広々としたフロアに、甘い匂いが漂っている。
私たちはテーブルをひとつ陣取ると、それぞれお皿を持って、ケーキやらフルーツやらを選びに行った。
私はココアパウダーをまぶしたチョコレートをいくつか取った。
それぞれが持ち寄ったお皿が、テーブルの上を華やかに彩る。女の子なら誰だって心が踊る、ふわふわした、甘いもの。
ケーキに浮かれた友人たちは、久々の再会ということも手伝って、おしゃべりが止まりそうにない。
ふいに結婚の話題が出て、「早紀って結婚願望あるの?」と聞かれた。
私は笑顔でそれを流し、ブラックコーヒーを飲んだ。