キミのとなり。
その帰り、暗い夜道を初めて仁と並んで歩いた。


意外と背が高いんだな……。


私は仁に出会ってからというもの、彼の意外な一面に何度驚かされただろう。


すると仁は静かに口を開いた。


「付き合ってもらって、悪かったな。」


「……ううん。」


「猫にもストレスなんてあるんだな。」


「あの子猫なりに環境の変化とかで色々ストレス抱えてたんだねー。」


……んっ!


ふと思った。


「ねぇ、あの猫名前ないの?」


私がそう聞くと、仁は急に黙り込む。



「なんだ~まだ決めてないんだったら私がっ」



「ある。」


「え!?……何ていうの?」


私から目を反らしつつ、照れ臭そうに仁がボソッと呟いた。



『タマ』


タッ…


“プッ…!”



思わず噴き出しそうになった。


でも……この人らしい。



すると話題を変えようと仁は私にある質問をしてきた。


「今日は一人か。」


「え?」


「いつもの男は?」


私が急にうつむくと仁は何かを察した様に話し出す。


「喧嘩か。」


「……。」


「喧嘩ならまだいい。」


私はその内仁に愚痴をこぼし始めた。


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