キミのとなり。
ライブハウスに着くと、会場は今日もたくさんの女の子達で賑わっていた。


「先輩、ココココ!」


若菜ちゃんが空いているスペースをみつけてくれた。


相変わらず狭いなぁ……


しばらくして他のバンドの演奏が始まった。


なんだか頭が痛くなるような演奏だ。


早くあいつ…、出てこないかな。



無意識に仁が出てくるのを楽しみにしている自分がいた。


演奏が終わり会場がざわつき始める。


“コツコツコツ…”


薄暗いステージに響く足音に息を飲んだ。



ステージに照らされたスポットライトの中にあいつはいた。


一気に会場はヒートアップ!


ジンへの黄色い歓声が飛び交う。


軽く音合わせをした後、ジンはマイクの前に立ちギターを弾き始める。


それに合わせて演奏が始まると、優しい声でジン唄い出した。



やっぱり……


いい声。


聴いていると元気になる、不思議な唄声。



なんでかな……



嫌な事までも、忘れてしまえそうな・・・



そんな力を感じた。


会場も彼らの奏でるそのメロディに合わせて、ゆっくり体を揺らして聴き入っている。



横で小さな声で若菜ちゃんが話しかけてきた。



『先輩!ジンなんていいんじゃないですか!?』



「はっ!?」



一気に現実に引き戻された。


にんまりした顔で私を見る若菜ちゃん。


「男でできた傷は男で治すのが1番ですよ!」



と、意味深なウィンクひとつ。


「なっ何言ってんの!」


ってか、なんで顔赤くしてんの私はっ!


「ククククッ!」


そんな無駄なやり取りをしてる内に、ゆっくり演奏は終わった。



「今日は来てくれてありがとう。近々新曲を発表します、楽しみにしててくれ。」


軽く頭を下げてジンはステージを降りて行った。



へぇー新曲かぁ…


あいつが作ってるのかな。


ちょっと楽しみ。

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