キミのとなり。
《新婦が入場致しますので、皆様後ろの扉にご注目下さい。》



神父の合図が聞こえた後、目の前の扉がゆっくり開き眩しい光と共に真っ赤なバージンロードが目に入った。


父と共にゆっくり一礼した後、足を揃えて前へ進む。


一歩また一歩……



ついこの前まで、こういうシーンを見ている立場だったのに、今私はこうして真っ赤なバージンロードの上を父と一緒に歩いている。



それだけで、また感極まる。



その時、どこからか誰かの声がした。


「せんぱいっ!おめでとう~。」



参列席で小さく拍手をしながらそう囁いてくれたのは、若菜ちゃんだった。



その横でケンチャンも小さくガッツポーズをして微笑んだ。



若菜ちゃん…



ケンチャン…



私もそれに答えるように小さくピースサインを作って見せた。



「千秋、綺麗よ!」



「三十路前に嫁に行けてよかったな~!」



今度は晶子と晃だ…



晃の腕に抱かれた睦月ちゃんも私に手を振ってくれている。



「ありがと~」



そう呟いて小さく手を振り返した。



「千秋、おめでとう。」



“パチパチパチ”



次に目に飛び込んできたのは弘人とずいぶんお腹が大きくなったあづささんだった。



弘人…



この前は逆だったのにね…


私がバージンロードを歩く弘人の姿を目で追っていたのに。



時が経つ早さが身に染みるよ……。



そんな弘人とあづささんににっこり微笑み返した。



その他にも、一緒に働いていた同僚…学生時代の友達…


部長の姿もあった。



その横に桜井君がいた。



「あっ……」



桜井君は親指を立てて得意のオッケーサインをしてみせた。



桜井君……



ありがとう、本当に色々教えてもらったね。



年下なのに、妙に大人びた態度……



時には部長に突っ掛かる姿も私、嫌いじゃなかったよ。



そしてゆっくり足を止める。



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