キミのとなり。
父は私の目すら見ようとしない。



昔から厳格な父…



もしかしたら今も心の底では反対しているのかもしれない。



だけど、私見つけたんだ。


最愛の人を……



だから、誰になんて言われようと仁について行くって決めたんだ……



だからっ…



「幸せになりなさい。」



えっ…



「……。」



父はボソッとただ正面を見据えたままそう呟いた。



じわじわとまた泣き虫の虫が騒ぎ出す。



ダメだ…今泣いたらメイクもぐちゃぐちゃになっちゃう……



せっかく隠したクマだって……



だけど、押さえられなくて一筋の涙が頬を伝うのがわかった。



「…泣くな、ほらっ開くぞ!」



そう言って父は胸元からハンカチを取り出して私に差し出した。



そうだよ…一世一大の結婚式なのにっ。



父からハンカチを受け取ると、素早く涙を拭いた。



笑ってお嫁に行くって決めてたんだからっ。



「ありがとう、お父さん。」


その時だった。



初めて父が私を見て笑ってくれた。



娘の幸せを願う、優しい優しい父の顔だった。



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