赤い狼と黒い兎
『ゆったりまったりしてる場合じゃねぇなこれ…』
「どうする?」
『今すぐにでも殴りに行きたいところだが、まず嶽の居場所を探すのに専念しよう。それからだ』
「わかった」
琉樹は微妙な顔をしながらもパソコンに視線を移した。
朔弥も朔弥で、もっと有力な情報を手に入れようとしていた。
『(…あの倉庫…どこかで……)』
ふとさっきの画像の背景を思い返した。
少し傷んだ木目。白基調で病院にあるようなベッド。
……もしかして。
思い当たる節があり、そこを調べてみた。
『(ビンゴ……)』
やっぱり、そこに嶽はいる。
昔と変わらない、あたしたちの基地。
『(…全部、あの時と同じようにするつもりか……)』
…もう、瑠衣のような犠牲は出したくない。
あたし1人でなんとかする。…と言っても、こいつらは一切聞く耳持たないだろう。
『…はぁ。(どうするもんか…)』