赤い狼と黒い兎
『だいたい、連れて来させた本人が黙秘ってズルいよね』
「さぁ、なんの事だか。行くぞ、ひま、亜稀羅〜」
そしてまた、2人に挟まれて引っ張られる自分。
やっとこさ倉庫に入り、倉庫いっぱいの人を見て驚いた。
「あ、今日は勢揃いってとこだね」
倉庫に入ったら逃げないと思ったのか、2人は手を離して朔弥たちのところへ行った。
……拉致っといてぼっちか。
ふざけんなっつうの。マジで帰りたー…。
「あ、あのッ」
『んぁ?』
振り向けば、朱雀の下っぱくんであろう男子がいた。
オレンジめいた赤色の髪に、焦げ茶色の目。
…あれ、どっかで見たことあるような…?
「か、馨さん…ですよね…?」
『…ああ、うん。そうだけど』
「やっぱり!」
彼は人懐っこい笑みを浮かべ、頭の後ろに手を置いた。