赤い狼と黒い兎
自分の中の何かが、ブツンと切れた気がした。
「なっ!?」
刺されているお腹の痛みはなくなって、ナイフを持っている右手がそれを嶽に刺していた。
それでも収まらないあたしは、嶽を刺した後も殴り続けた。
手が腫れようと、腹から血が溢れ出そうと、相手が気絶しようと。
ずっと、ずっと、殴り続けた―――
「馨ッ!」
「もうやめて馨!」
…あれ、どうしてかな
止まって欲しいのに、止まらない。
自分のカラダなのに制御が出来ない。
…おかしいな。
どうして、涙が出るんだろう。