水に映る月
歩いている間、何回も声を掛けられた。
気に入るのがいなくて、全部スルーした。
終電に乗り遅れたら、誰かに迎えに来て貰おう。
そんなことを話していた時、また車の窓から男が声を掛けて来た。
こんなタイプの人達でも、ナンパなんかするんや‥
そう思ってしまうくらい、真面目そうな二人組。
「良かったら、僕らと遊びません?」
話し方も丁寧だから、安全そうって思った。
「大阪まで送ってくれるん?」
あたしが助手席の彼に訊くと
「うん、イイよ♪」
助手席の彼は、爽やかな笑顔で答えた。
清香に“乗ろ”って目で合図して、あたし達は、後部シートに乗り込んだ。